認知症とは
認知症は、脳の病気や障害など様々な原因により、認知機能が低下し、日常生活全般に支障が出てくる状態をいいます。
認知症にはいくつかの種類があります。
アルツハイマー型認知症は、認知症の中で最も多く、脳神経が変性して脳の一部が萎縮していく過程でおきる認知症です。
症状はもの忘れで発症することが多く、ゆっくりと進行します。
次いで多いのが脳梗塞や脳出血などの脳血管障害による血管性認知症です。
障害された脳の部位によって症状が異なるため、一部の認知機能は保たれている「まだら認知症」が特徴です。
症状はゆっくり進行することもあれば、階段状に急速に進む場合もあります。
また、血管性認知症にアルツハイマー型認知症が合併している患者さんも多くみられます。
その他に、現実には見えないものが見える幻視や、手足が震えたり歩幅が小刻みになって転びやすくなる症状(パーキンソン症状)があらわれるレビー小体型認知症、スムーズに言葉が出てこない・言い間違いが多い、感情の抑制がきかなくなる、社会のルールを守れなくなるといった症状があらわれる前頭側頭型認知症といったものがあります。
若年性認知症
若くても、脳血管障害やアルツハイマー型認知症のために認知症を発症することがあります。
65歳未満で発症した認知症を若年性認知症といいます。
軽度認知障害
認知症のように普段の生活に支障をきたすほどではありませんが、記憶などの能力が低下し、正常とも認知症ともいえない状態のことを軽度認知障害と言います。
軽度認知障害の方の約半数は5年以内に認知症に移行するといわれています。
軽度認知障害の方のうち、すべてが認知症になるわけではありませんが、この段階から運動などの予防的活動を開始することで、認知症の進行を遅らせることが期待されています。
認知症ではなさそうだと思っても、以前よりもの忘れが増えている、もの忘れの程度がほかの同年齢の人に比べてやや強いと感じたら、念のために専門医を受診することが早期発見・早期対応につながります。
認知症のサイン・症状
認知症の症状は、記憶障害や見当識障害、理解力・判断力の低下などの中核症状と、
行動・心理症状(BPSD; Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)に大別できます。
認知症の中核症状のサイン
もの忘れ(記憶障害)
- 数分前、数時間前の出来事をすぐ忘れる
- 同じことを何度も言う・聞く
- しまい忘れや置き忘れが増えて、いつも探し物をしている
- 約束を忘れる
- 昔から知っている物や人の名前が出てこない
- 同じものを何個も買ってくる
時間・場所がわからなくなる
- 日付や曜日がわからなくなる
- 慣れた道で迷うことがある
- 出来事の前後関係がわからなくなる
理解力・判断力が低下する
- 手続きや貯金の出し入れができなくなる
- 状況や説明が理解できなくなる、テレビ番組の内容が理解できなくなる
- 運転などのミスが多くなる
仕事や家事・趣味、身の回りのことができなくなる
- 仕事や家事・趣味の段取りが悪くなる、時間がかかるようになる
- 調理の味付けを間違える、掃除や洗濯がきちんとできなくなる
- 身だしなみを構わなくなる、季節に合った服装を選ぶことができなくなる
- 食べこぼしが増える
- 洗面や入浴の仕方がわからなくなる
- 失禁が増える
認知症に伴う行動・心理症状(BPSD)のサイン
- 不安、一人になると怖がったり寂しがったりする
- 憂うつでふさぎこむ、何をするのも億劫がる、趣味や好きなテレビ番組に興味を示さなくなる
- 怒りっぽくなる、イライラ、些細なことで腹を立てる
- 誰もいないのに、誰かがいると主張する(幻視)
- 自分のものを誰かに盗まれたと疑う(もの盗られ妄想)
- 目的を持って外出しても途中で忘れてしまい帰れなくなってしまう
軽度認知障害のサイン
認知症のサインまではいかなくても、少しだけ加齢によるもの忘れが強いと感じたら、軽度認知障害の可能性も考えられます。
軽度認知障害の特徴としては、下記の3つが挙げられます。
- 以前と比べてもの忘れなどの認知機能の低下がある、本人が自覚している、または家族等によって気づかれる
- もの忘れが多いという自覚がある
- 日常生活にはそれほど大きな支障はきたしていない
「加齢によるもの忘れ」と「認知症によるもの忘れ」の違い
加齢によるもの忘れと認知症によるもの忘れの違いの区別ができればよいのですが、現実にはなかなか難しいものです。
これが全てではありませんが、認知症に気づくためには、次のようなサインが役立ちます。
- もの忘れの為に日常生活に支障をきたしているか
- 日常生活で重要ではないことや知識(タレントの名前や昔読んだ本の題名など)を思い出せないのは加齢によるもの忘れの範囲内ですが、自分の経験した出来事を忘れる、大事な約束を忘れるなどの場合は認知症のサインかもしれません。
- 本人が忘れっぽくなったことを自覚できなくなっているか
- もの忘れがあっても、自覚があり続ける場合は加齢によるもの忘れの範囲内かもしれません。 最初はもの忘れを自覚していても、次第にもの忘れをしていることに気づけなくなり、話の中でつじつまを合わせようとすることがあれば認知症のサインかもしれません。
- もの忘れの範囲は全体か
- 経験の一部を忘れるのは加齢によるもの忘れの範囲内ですが、経験全体を忘れるのは認知症のサインかもしれません。 例えば、朝ごはんのメニューを詳しく思い出せないなら加齢によるもの忘れでしょうが、朝ごはんを食べたこと自体を忘れるようなら認知症のサインかもしれません。
(参照:厚生労働省「みんなのメンタルヘルス」)
レスパイト入院
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